1899年8月25日付 琉球新報記事 画像

○鹿児島の暴風

去十四日午後十一時より翌日午前第四時迄鹿児島県に近来未曾有の暴風雨あり全市の潰家九百十六戸、半倒三百四十六戸、大破百八十五戸、計四百四十七戸にして即死人十三名其他人畜の負傷する者数うべからず古老の話に依れば六十年来始めての暴風なりと云う。


○マラン船の漂着

此程福州より本県へ向け渡航中のマラン船(琉球型船)一隻暴風の為め鹿児島県大島郡へ漂着したる由なるが、同船は非常の危険に逢い積荷抔も大方打捨てたりと云う。


○海産物商の不注意

那覇区字東なる海産物商児玉常七は鱶の鰭を倉庫に貯蔵せしに其の鱶の鰭が腐食せし故か頃日臭気の洩れしより隣近所の人々は種々苦情を鳴らせしに就き那覇警察署に於いては早速常七を呼出し臭気の洩れざる様注意を与え若し万一にも臭気の洩れざる方法無きに於いては目下夏季の候伝染病発生の時節にて斯く人家稠密の場所柄に於いては衛生上捨て置き難き事なれば人家隔離の場所へ移転する様懇々御説諭を頂戴せりと云う時節柄適当の処置と云うべし。