1899年12月11日付 琉球新報記事 画像

海外交易調査会(続)

奈良原知事:只今椿書記官より御話の通り本県は商業会議所の設けなきを以て海外貿易調査上大に不便を感ずる次第なれば各位に於て之が調査の労を取られんことを希望す。

岡田参事官:只今知事並書記官より述べられし通り本県は未だ商業会議従の設けなきに依り十分の調査を遂ぐるは甚だ困難の業なれども本日茲に集会せらるる諸君は大抵実業に徒事せらるれば此際海外貿易に関する調査会なるものを設け海外貿易上に於ける諸般の事項を調査せられんことを希望す。而して其調査の会員は本日集会せらるる諸君其他実業に従事せらるる諸君を以て組織し其調査の方法は調査会の内に部を設け各部に於て十名位の委員を撰定して調査に従事せらるる様致したし。而して部を設くるとは譬へば本日集会の諸君中にも反布に従事せらるるもあり実業中其種類の異なるを以て各々其方面に向て各別に調査せらるることにすれば自然精密なる調査を得貿易上大に益するものありと思考す。

護得久朝惟氏:右調査委員を設くるには会員中互撰する義なるや如何。

岡田参事官:本日集会せられたる諸君又は其他の実業に従事せらるる諸君を以て右会員を組織し調査会の中に部を設け各部に於て十名位の委員を撰定し調査を為さしむるに於ては却て纏り宜しからずやと思考す。要するに開港場を維持することにあれば県庁に於て海産には誰金融には誰交通には誰と御指名ある方法で纏りも宜しく調査の運びも速かならんと思考す。