1899年12月17日付 琉球新報記事 画像

渡清道中日記(続) 半狂生

皷浪嶼に山崎屋とて一軒の日本宿屋あれども宿客多くして逢悪く明間なしとて茫然船に待つこと二時間許正午過漸く上野領事赤塚副領事の迎へに来れるあり共に上陸して領事館に赴き領事の厚配に依り小島栄蔵と云ふ人の楼上を借りて宿所と定め新たに椅子を列へ寝台を置き畳を敷く等混雑の間に起臥の準備をととのふるを得たるは言語不通の西洋ホテルに勝る万々なり。因に記す當港には一軒の日本宿屋を除き厦門、コスモポリタンと称する二軒のホテル共に皷浪嶼にあり外に支那人の客桟なるものあれども起臥一切の器具を携帯せざる可らず甚しきは食物も自炊なるが上に不潔極りなしと云ふ。

厦門港

某氏の書中に曰く(前略)支那開港場中船舶の出入最も安全自由なる所にして水先案内を必要とすることなし。天然の大勢は外港と内港とに分る(中略)ジヨンクは多く厦門港と名くる従来の小港に輻輳し汽船は厦門市の西方皷浪嶼の東北に碇泊す厦門島一名鷺江と皷浪嶼との間は狭き処ろ六百七十五ヤード広き処ろ八百四十ヤードを有し湖水は常に十四呎と十六呎との間を昇降す。満潮のときは巨大の汽船も能く此間を通過す云々以て其一般を知るべし。市は△厦門島の西南岸にありて商店之に櫛比し外国人の住宅は皷浪嶼に構え高楼丘上丘下に散布す一見其の繁昌を察するに足る。


海外交易調査会(続)

輸出の部

一 貨物の種類 二 産物及並産額 三 集散地の状況 四 運搬の方法 附荷造の方法 五 輸出后に於ける販路の状況 附取引の状況 (注意)貨物は委託販売とするや委託販売とするは如何なる方法を以て如何なる会社又は商店と契約するや又支店を設くるとすれば其家賃及店員の俸給等詳細に取調ふる事 六 輸出額及其時期 七 輸出后需要の状況 八 今后に於ける輸出消長の見込

全部に対する取調事項

直輸出入の保護及奨励 附金融機関及交通機関

一 将来新たに輸出入の見込ある貨物

一 材木 二 綛 三 紅花 四 燐寸

各貨物に対する取調事項の条項は其貨物に依り随意増減する事とせり

将来新たに輸出入の見込ある貨物は調査の結果増加する事とせり

産額価額は最近―三ヶ年間を調査し各年の表を記載する事を要す

各部担當委員姓名

穀類の部 

右担當 中馬辰次郎 同大坪岩次郎

茶の部

右担當 比嘉次郎 同嘉数詠顕 同普久里宗業

織物の部

右担當 肥後孫左衛門 同平尾喜八

雑貨の部

右担當 名護紹孔 同渡久山朝恭 同比嘉次郎 同小嶺幸之

水産の部

右担當 古賀辰四郎 同比嘉次郎

酒の部

右担當 津嘉山珍章 同高嶺朝教

漆器の部

右担當 小嶺幸之 同比嘉次郎

椎茸の部 附木の耳

右担當 肥後孫左衛門 同大峰柳吉