1899年12月27日付 琉球新報記事 画像

海外交易調査会(続)

調査事項

一 輸入の部

一 穀類の部 一 米 二 大豆

二 茶の部

三 織物の部 附輸出も共 一 桐板 二 蚊帳 三 織物類

四 雑貨の部 一 傘 二 朱 三 蛇皮 四 香類 五 紅麹 六 虫糸 七 紙類 

  八 薬種 九 其他

二 輸出の部

一 水産の部 一 鱶鰭 二 鯣 三 海参 四 塩辛 

二 漆器の部

三 酒の部 一 焼酎

四 椎茸の部

三 直輸入出の保護及奨励 附金融機関及交通機関

四 将来新に輸出入の見込ある貨物

輸入の部 一 鍋類 一 棕櫚 一 陶器類 一 竹 一 漆類 一 金銀箱 一 紅花及松燕脂 一 籐 一 紙類 一 真綿 一 生糸 一 菜種子油 一 豆油 一 錦 一 綿布類 一 繰綿 一 笋絲 一 苧麻 一 藤細工類 一 海月 一 結餅 一 広東鯣 一 三味線絲 一 竹細工物類

輸出の部 一 昆布 一 ?寒天 一 鮑魚 一 板良貝 一 鰹 一 塩鱶 一 メイ骨 一 魚煙 一 鯨堀々 一 海心草 一 ヒハツ 一 牛皮 一 食塩 一 白黒胡麻 一 石炭 一 牛油 一 牛筋 一 豆皮蝋 一 泥藍 一 茯荅 一 百田紙 一 梅の露髪附 一 紀州ネル類 一 塩魚類 一 芋葛

五 知事に取調を請ふ事項

輸入の部

穀類 一 米

一 米の種類

本県に輸入する米に二種あり一は地米と称し即ち本邦米一は唐米即ち外国米なり左に述ふる処のものは唐米なり。

唐米に二種あり一は砕けざるもの一は砕けたるもの即ち粉米にして又此米を十等に分つ。

砕けざるものは多くは食用に供すれども其価格廉なるときは醸造用とす。

粉米用は醸造用なれども又甘藷不作にして騰貴するときは貧民は粉米を食用とする事あり。醸造用に紛米の粒の大小を用ゆるは季節によりて異なり夏は大粒を用ひ冬は小粒を使用す。砕けざるもの及粉米は何れも精白なり。

二 産地

産地はラングーン、シャム、西貢安南東京広東等にして神戸を経て本県へ輸入す。産類は不詳。

三 集散地

本県へ輸入する米の集散地は神戸なり。神戸へはシャム、シンガポール等より直航することあり或は上海香港を経て来ることあり其内尤も多く神戸へ輸入するは香港なるべし。取引の状況は香港は詳かならざれども神戸に於ては多くは支那人にして上海香港又は産地より直輸入し取売するものあり又委託を受け販売するものあり而して之れ等支那人は米を専業するに非らず多くは雑貨商なり。

本県商人にして直接支那人と取引して輸入するものあり又大坂に本店支店あるものは本店若くは支店にて支那人と取引して本県へ送付す又之等の設けなきものは問屋と称するものありて之れと取引せり。

取引するときは商館には米の見本ありて其見本に依りて価額を定め約束す然れども其見本と必ず同一なる品を得る事難く往々他物の混和することありて損失を受くることあり右の取引は商人に信用あるものは現金引換ひに為すを要さざるも未だ信用薄きものは現金引換払せざるべからず尤信用あるものにても金銭約束払渡の際若し違約することあるに於は其後は支那人同盟連合して其商人とは一切取引を為さず其法甚だ厳格なり。

(未完)