1900年1月7日付 琉球新報記事 画像

海外交易調査会(続)

一 茶の種類

本県に支那より輸入する茶の重なる種類に清明茶、花香茶、半山茶の三種にして其内尤も多く消費するは清明茶とす。其他工夫茶小種茶等あれども其額甚だ僅小なり。

二 産地及産額

右に掲げたる茶の産地は福州にして又福州は支那に於ても著明の産地なり。其他三砂湾地方も亦多し。

三 集散地

本県に輸入する支那茶の集散地は大坂にして支那商人に依りて大坂に輸入せられ本県茶商は之れを買入輸入す。

支那商人とは福州人にして茶を専業とするにあらず茶商を兼業し又は雑貨商を営むものなり。之等の商人は大坂に居留し本県茶商の注文に応じて福州より輸入し本県茶商に販売す。本県茶商にして支那商人と直接取引をなすものは凡そ十軒あり其重なるものを挙ぐれれば丸一店丸三店嘉数店比嘉店平尾店等にして又広運株式会社大阪事務所へ依頼し買入るるものも多しと云ふ。

福州に於て茶商を営むもの多しと雖ども大坂へ福州より輸出する茶商は僅かに二三名に過ぎず又外国人にして福州に於て撰り子数十人を使役し盛に製茶に従事するものあり支那より輸出の際支那人は厘金税海関税又日本に於て輸入税を払ふ然れども本邦人にして支那より輸出するときは海関税と輸入税のみにして厘金税は海関税の十分の一海関税は茶百斤に付凡そ日本銀貨三円五十銭本邦輸入税毎金六銭ニ厘なり。

四 運搬の方法附荷造

福州より輸出する茶は総て外国船に投積し一度香港に至り而して上海長崎を経て大坂に到達す。

荷造は斤量に差異あれども其方法は同一にして甚だ不完全なる者なり。清明茶は一個四十斤入包二個合せ八十斤を一函とす其入器は杉の簿き粗造なる板を以て造り其内部は錫の薄板にて張り又函の外部は竹にて製したる本邦の莚の如きものを以て包み其上を数ケ所縄を以て縛す。

半山茶は四半斤又は半斤づつ包みたるもの三十斤入包み三個を一函とし花香茶は四半斤包半斤包又一斤包八十八斤入を一函とす。而して右一函支那より大坂迄の運搬費は詳かならざれども大坂より那覇迄は一函平均凡そ七十五銭

(末完)