1900年1月17日付 琉球新報記事 画像

海外交易調査(続)

虫糸

虫糸は支那の産なれども何れより輸入するや明ならず之れも大坂より買入る福州にて製するを見ず。輸入額は詳かならざれども凡そ五十斤にして其価格は五百円なり。

六 紙類

一 種類

紙の種類は朱紙白唐紙?紙等なり。

二 産地

本県に輸入するものは福州にて製するものなり。福州は主産地にして其種類甚だ多し。紙は其巾二尺五寸長さ四尺にして百枚を一本と云ふ然れども実際百枚あるものにあらず。大抵九十五枚なり。

三 輸入額

朱紙六百帖其価四百五十円白紙十本其価百五十円なり。

七 薬種

一 漢方医の使用する薬種及膏薬丸薬なり。薬種も已前は非常に輸入ありしが洋医盛なるに従ひ漸々減少す。

二 産地

天津上海等なるべし。

三 集散地

産地明かならざるを以て従て集散地も明ならず。本県に於ては大坂薬種商より買入れ輸入す。

雑貨は已前本県と福州と直接交通するとき僅か輸入し今日と雖ども亦多少の輸入あり然れども之等の物質を以て一営業とするものなく総て兼業にして且つ又僅少の輸入額なれば充分の調査をなすこと能はず。右の外墨百斤其価二百円銅鑼三十枚其価百五十円位等の輸入あり。

輸出物

一 水産物

一 種類

水産物の重なる輸出品は鱶鰭海参シユクガラス等なり。其他永良部鰻の輸出あれども其産額甚だ少なし。

(一)鱶鰭

鱶鰭の品質を上、青、及水の三等に区別す。尤も多く輸出せらるるものは上なりとす。

上とはシロナカ、琉球、大羽根イツヨウ等にして上を通称通羽根と云ふ其価額は時の相場に依りて異なり又種類に依りて異なれども原産地に於て平均百斤三十六円(肉切最上等四十円内外然し此の如き品は稀に見る処なり)近来下落して三十二三円なり。大坂に於て尤も高価のときは四十円内外近来は下落して三十四五円なり。

青とはオキザワラを云ふ。其価額は本県に於ては二十三四円大坂に於て二十六七円にして価額の変動は上に準ず。
水とはオーナンジユーを云ふ。其価額は産地にありては十八九円大坂に於ては二十二三円にして水の価額は上の半額と見積て可なり。
クシサバ又はクソーと称し鱶鰭中最も上等のものあり。之れ稀に見る処のものにして普通売買に少なし其価額も従て高く水産博覧会に出品せしものは一斤一円と附札せり。