1900年2月3日付 琉球新報記事 画像

海外交易調査会(続)

一南清貿易を開始するに就て汽船を備ふるの必要

抑々本県に年に輸入する処の支那米数は実に二十万個内外の多きに達し積載する船舶一千噸二十艘の要す。本品は従来支那本国より同国人の手を経て神戸へ輸入し同地に於て売買をなし再ひ當港へ輸入するものなり。之れに対する神戸よりの運賃荷造賃揚卸しの費用算するときは七万千円の多額となる因て直輸入を図るときは上記の費用を省き年々益々盛に輸入の増加を見るに至らん。

雑貨の直輸出入を仮に台湾航海船に積載するときは基隆淡水に於て必ず積換をなす為めに運賃高価に當り揚卸しの経費を要す加之揚卸しの際貨物に破損を生じ損害を被むり到底輸出入の目的立ちがたるべし。

一航路範囲

航路範囲は自今本県を定繋場とし一方は大坂へ他の一方は福州厦門を終点とす。

一噸数

噸数は第一資本第二荷物の多少第三港湾の深浅等に依りて定めざるべからず。噸数多き船舶を購入し得るの資本ありと雖ども貨物少なきときは其収支相償はず又那覇港淡水港の如き浅き港湾は大船を港内に入るること能はざるのみならず沖掛すれば風波荒きときは貨物の積卸に不便を来たし経済上非常の不利益なり。故に荷物及港湾等より考ふるときは千噸内外を通常とす。

一船数

船数も亦資本と荷物に関係す。且つ開始の際なれば目下一艘にて差支なかるべし。

一航海度数

航海は数も亦資本の多寡荷物の多少に依り異なり現今は福州に六回とし荷物の増加するに従ひ漸次度数も増加す。

(未完)