1900年2月5日付 琉球新報記事 画像

海外交易調査会(続)

一保護金額

右に掲げたる条件を以て資本金を二十万円と仮定して一ケ年の計算を挙ぐれば大略左の如し。

一収入

一金四万八千八百円

福州迄一ケ年六回とし其余は大坂に六回尚ほ本県と八重山宮古の両島へも臨時航海するとして積算せり。

一支出

一金八万八千円

船舶の諸入費会社の諸掛保険料資本金二十万円に対する利子等を見積りたるものなり

右の計算に依れば収支償はず差引四万円の損失を見る。之れ初期は貨物の多寡を予測し難く且つ已に長崎大坂神戸等は多年取引地なるを以て今那覇に於て貿易を開始すれども最初に於ては従来大坂を経て本県へ輸入し来りし貨物の全体を得るは到底期し難き事なれば當分は先つ其幾分を得漸次に當地へ引取るの策を講じ且つ亦九州に於て大坂を経て輸出入する貨物にして今後本県を経て輸出入すれば利益ある地方もあるべし。依て之等の貨物を合するときは最も利益ある航路となるは明かなれども其間年々前期の如き損失あるを以て其機関の完全する迄は政府の保護を仰がざるべからず如此して此設備をなすに於ては幾分の利益あるを以て自然之れを計画するものあるを信ず。則ち其補助として一ケ年凡そ五万円づつの額を仰ぐの見込として果して五万円補助を受くるを得ば一万円即ち資本に対する年五朱の利益あるものなり。

金融機関

金融機関は福州厦門には台湾銀行の支店の設置せらるるやに聞く。之れと連絡すれば差支なかるべし。此件に就て知事閣下御渡前の際可然御配慮を煩し度ものなり。

知事に取調への御依頼事項

調査の際不明なる事項及ひ其他貿易開始するに就て取調べ置くべき必要なる事項を左に掲ぐ。

一 輸入の部

一 穀類

一 米

一 福州厦門に産する米を本邦へ輸出するや否や輸出ありとすれば左の事項

一 一ケ年の産額及一石の価額

一 厘金税海関税

一 大坂迄の運賃

一 米商の戸○組織及取引の状況

一 福州厦門より輸出米なきときは本県へ輸入する外国米福州より直接本県へ輸出する方法如何

一 右の如き方法を以て現時大坂へ外国米を輸出するものあるや

一 右ありとすれば何国より福州厦門へ輸入するや其取引の状況及海関税商戸の戸数其組織