1900年9月27日付 琉球新報記事 画像

○寄留商人案内(一)

本県の商業界を篤と観察すれば内地商人並に沖縄商人の区別あり。其の間の事情を密かに推察すれば内地商人は内地商人のみ団結をなし沖縄商人は沖縄商人のみ団結をなし居るが故本県商業界に及ばず損益問題は共に協力一致と云ふことなく各団体の協議は各団体に行はれ居りて本県商業家一般の意向が一致せざるより商業界に於て決議したる事項は其の大小となく容易に捗どらざる有様なり故に余は内地商人を案内して次ぎに沖縄商人を案内せんと欲するは本県の商業家をして互に一致団結せんことを希望するが故なり。

(「にトク) 中馬辰次郎氏
同氏は那覇区字西三十八番地に商店を開き重に穀物並に砂糖商をなし居れり。同氏の実兄中馬徳太郎氏は大阪にありて同地の商人中名望家の聞へある由なるが目下兄弟とも鹿兒島汽船会社の監査役にして大阪にては兄中馬徳太郎氏と大坪岩次郎氏の兄大坪嘉太郎氏の二名にて同会社の為めに大に力を尽し本県にては中馬辰次郎氏と大坪岩次郎氏の二名にて矢張り同会社の為めに力を尽し居ると云ふ。

(○に正) 大峰柳吉氏
の商店は同区字西十七番地にして商業は重に穀物茶砂糖の売買をなし居れり。同商店は宮崎県黒岩商会の支店にして大峰柳吉氏は目下共同汽船会社の取締役たり。

(山に大) 大坪岩次郎氏
は同区字西二十七番地に商店を開き重に米穀類並に砂糖を売買し居れり。同氏の実兄大坪嘉太郎氏は大阪にありて目下大阪砂糖会社社長にして又岩次郎氏は鹿兒島汽船会社の監査役たり。

(「○に小) 小牧藤助氏
の商店は同区字西十番地にして本店は鹿兒島にありて小牧藤兵衛氏営理せり。本県にての商業は重に雑穀並に材木砂糖を売買し居れり。

(「にサ) 前田英次郎氏
は同区字西六十九番地に商店を開き居りしが同商店は鮫島氏の支店にして商業は重に穀物並に砂糖の売買をなし居れり。