1900年11月17日付 琉球新報記事 画像□
○黒川氏の糸満漁村談(承前)
元来本県に於て水産製造品と称すべきものは鯣、鱶鰭、海参の三種にして多くは生肉販売とす是故に一朝多獲の漁獲あるときは忽ち価格低落し損害を蒙ること少なしとせず漁獲の多寡に依り価格に変動を生ずるは数の免れざる処なりと雖も利用販売の便を求むるは須く先つ製造の方法を研究して需用の増加を謀らざるべからず苟も是等の得失を計較し製造を施すの手段を用ゆるに至ては需用漸く多きを加ふべし。従来の製品鱶鰭、鯣の如きも克く注意を加へて製造すれば則ち価格を高め尚益々販路も拡張すべし。然るに近来製造上には聊か注意を要するものありと雖ども販売上種々の弊害を生じ或は鯣荷の中に粗悪品を包み込み或は荷造縄を殊更大にし尚其縄に塩分を含ませて斤量を貪る等甚だ厭ふべき奸策を施すものありと云ふ。鱶鰭の如きも斤量を貪らん為め殊更に骨肉を付着せしむるがゆへに其部分より蝕虫を生じ為めに信用を墜し買手は自然粗悪品として値踏するに至り却て○外の損失を招くべし。當業者は兎角此等の点に注意せざるは甚だ遺憾に堪へず従来本県の海産製造品は常に内地産の製品に比して劣等の地位にある所以のものは天然の品質に因ると云はんより寧ろ人工の拙なるに基くものの如し。是等の悪弊を矯正し同業者の利益を増進せんとすれば先つ同業組合を組織するの外良作なかるべし。今日に於て協同一致以て成るべく精良の品を出し世人の嗜好に適し良価を得て経済の道を立つるは製造の要項たり。今や如其偸安姑息の秋ならんや。余漁業者組合の設立を希望すると同時に海産商仲間の組合設立を希望する者也。抑も海産商は輸出海産品を支配する処の関門にして一として海産商の手を経ざるものなし。其海産商に於て粗悪なる不製品は一切此関門を通過させじと堅く規約を結べば自然不正品なきに至るべし詰り購買者なければ製造するものなければなり如何に製造者間に厳重なる規約ありても関門たる取扱商仲間に相當の規約なくんば其実効を見ること克はざるべし。国家の富源たる物産の改良発達を図るに付ては商家も共に其責を負はざるべからず彼の反布商砂糖商が奮然起て同業組合を組織したる所以此にありと知るべし云々。
画像下段にあるさぎの話は記事コピーの不備と尖閣とは関係がないため後日まとめて入力の予定、筆者のは榕陰羽公は黒岩恒氏なので入力は必ずします。